風俗営業許可を申請する際に添付する使用承諾書の書き方について解説します。
参考例の使用承諾書はキャバクラやスナックといった接待を伴う営業を行う社交飲食店を想定して作成しています。
目次
【風俗営業許可】使用承諾書とは?
使用承諾書の書き方の解説の前に、風俗営業許可申請における使用承諾書とは何なのか?
ここを理解した上で読み進んで頂いたほうが風俗営業許可の概要もつかめると思います。
キャバクラやスナックと言った店舗を構える際に、申請者自身が所有する建物を店舗として構える場合は自己所有であることを建物登記簿を提出して証明することができます。
しかし、一般的にはテナントビルの一室を賃借することが多いでしょう。
風俗営業許可申請では、賃貸借契約書のコピーと建物登記簿謄本を提出して、「大家さん」である貸主と建物所有者を確認します。さらにその大家さんから使用承諾書を取り付けることになります。
単なる居酒屋を営業すると思っていた大家さんが契約を締結したが、実際は風俗営業店だった!なんてトラブルを防ぐために使用承諾書の添付を求められます。つまり、使用承諾書とは借主である申請者が風俗営業許可を必要とする営業(キャバクラやスナック)を行うことについて認めたという法的な書面です。
【風俗営業許可】使用承諾書の書き方
では実際に使用承諾書の書き方を見ていきましょう。
① 申請者の氏名を記載します。
② 建物所有者の住所と氏名等を記載します。さらに押印してもらいます。
③~⑤ 建物の構造、所在地(地番)、家屋番号を記載します。取得した建物の登記簿謄本を確認してください。
⑥ 住居表示についても記載することが大事です。建物の登記簿謄本に記載されている地番といわゆる住所が一致していないことがあります。そのため、登記簿謄本の地番と賃貸借契約書に記載されている住居表示の両方を記載することで分かりやすくなります。
⑦ キャバクラやスナックの風俗営業許可の場合は、参考例のように記載しましょう。
⑧ 賃借している営業所が1棟全てを使用するのか。それとも建物等の一部だけなのかを明記します。
⑨ 建物等の一部だった場合、その営業所の在する階数と部屋番号を記載します。
⑩ 賃貸借契約書に記載されている契約期間を記載します。
建物所有者が複数名いた場合の使用承諾書は?
建物の所有者が1名だけとは限りません。相続等の手続きを経たりして、1棟の建物を数名で共有していることもあります。
こういった場合は、使用承諾書は全ての所有者分が必要となります。
全所有者からの使用承諾書が揃わない限り、所轄警察署は申請を受理しないでしょう。
転貸借だった場合の使用承諾書は?
都心のテナントビルでは、建物の所有者から一括借上をしておいて他の飲食店へ転貸借するといったことがあります。サブリースと言われる形態です。
転貸借の物件の場合であっても使用承諾書は必要となります。まず、建物所有者から借りている賃借人から転借人である申請者への使用承諾書。さらに建物所有者から申請者への使用承諾書。もしくは使用承諾証明書といった書面であったります。
私の関与した事件でも転貸借契約の物件は多くありましたが、殆どの場合は賃借人からの使用承諾書と建物所有者からの使用承諾書の2枚で受理されました。ただし、この転貸借物件の場合は事前に所轄警察署へ確認しておくのが賢明です。
物件を借りる際には使用承諾書の発行が可能かどうかを確認しましょう
風俗営業許可の要件の一つとして「場所的要件」を満たしていても、建物所有者から使用承諾書の交付を拒まれると風俗営業許可申請ができません。実際に使用承諾書を出してくれなくて許可申請ができずに、別の物件を借り直したお客様もいました。
風俗営業をする物件を借りる際には、場所的要件とともに使用承諾書の交付が可能かどうかも確認しておきましょう。