店舗のエリア | 東京都葛飾区亀有 |
申請者様 | 法人名義 |
業態 | フィリピンパブ |
申請種別 | 風俗営業許可 第1号営業 |
葛飾区亀有のフィリピンパブの新オーナー様から風俗営業許可申請のご依頼を頂きました。
こちらの店舗は、もともと別の個人名義オーナー様が10年以上も営業されていたのですが、新たな法人オーナー様が営業をするという案件です。
オーナーチェンジ案件は多くあります。すでに営業所の設備も常連客もあるので新規参入しやすいのでしょう。しかし、営業権を譲り受けて、そのままの状態で営業を継続はできません。許可の引き継ぎは認められないため、従前の許可はすべて廃業(返納)してから新たに保健所の飲食店営業許可と警察署の風俗営業許可を新規申請することとなります。
目次
風俗営業許可申請前に保全対象施設調査
いままで風俗営業許可を取得して営業していたフィリピンパブであっても、新規申請する際には保全対象施設が存在しないことを確認しなければなりません。もし、周辺地域に保全対象施設があった場合には風俗営業許可の申請を受理されません。
今回の案件では、既に法人名義で賃貸借契約を結んでしまった後でしたので、保全対象施設調査についてご説明して「保全対象施設があった場合には風俗営業許可の申請ができないこと」について了承をいただきました。
肝心の保全対象施設調査は、まず保健所で「診療所・歯科診療所・助産所」のリストを交付してもらいます。また、学校や幼稚園、保育園等の有無についても区役所のホームページで確認をしていきます。
それらのリストを手に入れたら、地図を持参して実際に周辺エリアを歩いて確認していきます。実際に目で確認することがとても大事です。建設中の建物の用途を確認したり、リストには出てこない保全対象施設もあったりします。
保全対象施設調査の結果、フィリピンパブの周辺エリアには保全対象施設は存在しませんでした。
内装工事後の営業所の設備を確認
従前の店舗が10年以上も営業されていたので老朽化が目立つということで、新オーナー様は大掛かりな内装工事も行っていました。
工事完了後の営業所内を見たところ、飲食店営業許可要件も風俗営業許可要件も満たしていました。
稀にですが、飲食店(特に風俗営業店)の内装に詳しくない内装業者が工事をした場合、それらの許可要件を知らずに工事をしてしまい、後から追加工事をしてもらうこともあります。
風俗営業許可1号営業の営業所構造要件
- 客室床面積:和室1室につき9.5㎡以上、洋室1室につき16.5㎡以上(客室が1室のみのときは制限なし)
- 営業所の外部から客室が見えないこと
- 客室に見通しを妨げる設備がないこと(高い間仕切りなど)
- 客室内の照度が5ルクスを超えること(調光器の設置は認められない)
- 風俗を害するおそれのある写真・装飾等の設備がないこと
- 騒音・振動の数値が条例で定める数値以下であること
- 客室の出入口(営業所外に直接通ずる出入口は除く)に施錠の設備を設けないこと
風俗営業許可申請書の作成と提出
風俗営業許可の申請に必要なのは、申請書と図面、そして公的な書類です。
申請書の書き方や図面の作成には風俗営業許可独特のルールが設けられていて、そのルールに沿っていない場合は受理してくれません。また、申請者様ご自身で所轄警察署へ事前の相談をしようと電話をしても、警察署の許可担当者は「自分で申請するのは無理だから、風俗営業許可専門の行政書士先生を見つけてやってもらってください」と言われることがほとんどです。
警察署の風俗営業許可担当者は1人の場合が多く、許可受付事務以外の仕事も多く抱えています。そのため、許可受付をスムーズに行いたいという理由から「行政書士」を通した書類で審査・受理したいというのが本音でしょう。
実際にこのオーナー様も、自身で所轄警察署へ電話したところ同じようなことを言われてしまったようです。
風俗営業許可申請に必要な書類(法人)
- 風俗営業許可申請書 その1
- 風俗営業許可申請書 その2(A)
- 営業の方法 その1
- 営業の方法 その2(A)
- 営業の方法 備考
- 料金表
- メニュー表
- 各階用途
- 半径100mの地図
- 半径100mの略図 保護対象施設
- 営業所平面図
- 営業所球積図
- 客室及び調理場球積図
- 音響及び照明設備図
- 誓約書 申請者
- 誓約書 管理者 イ
- 誓約書 管理者 ハ
- 誓約書 営業時間
- 在留カード
- 住民票(本籍地記載)
- 身分証明書(本籍地の市区町村長が発行)
- 定款(事業目的の確認)
- 履歴事項全部証明
- 使用承諾書
- 賃貸借契約書
- 不動産登記簿 全部事項証明
- 管理者 顔写真 2枚 カラー 縦3cm×横2.4cm
上記の書類を揃えてから所轄警察署へ申請の予約を取ります。
更に提出の際には、申請者様(代用者)にも同行をしていただきます。
受付にかかる時間は概ね1時間程度でしょう。許認可担当者が提出した書類の内容を確認し、不備が無ければ受理されます。
そして、店舗の実査について日時を決定します。
風俗営業許可の実査
風俗営業許可申請が受理されると、風俗環境浄化協会による店舗の実査が行われます。
風俗環境浄化協会は、警察OBの中から風俗営業許可申請に携わっていたメンバーを中心に構成される組織で、国家公安委員会から指定を受けて活動しています。その活動の一環として申請された風俗店の構造要件や場所的要件を実際に確認するというのが「実査」となります。
実査を無事に終わらせるようにするにはいくつかポイントがあります。
特に、構造要件は厳しくチェックされます。営業所の面積の数値が間違いないことは当然ですが、テーブルや椅子の数が違っていたり工事が完了していないなんてことは許されません。また、照度についても厳しい目を向けられます。営業所内全体をくまなく5ルクスを超えることが求められるのです。実査前に照度不足を補うようにスタンドライトを増設するなどの対策をしておきます。
今回も実査も無事に終了することができました。差し替えを求められることもありませんでした。
あとは標準処理期間である55日間の経過を待って、許可番号が発番されれば営業をスタートできます。